嗤う分身

嗤う分身」を観てきました。
この映画を知ったのは割と最近のことだったように思います。
宣伝が何となくコミカルなのだけど、邦題の「嗤う分身」という字面が
とてもいい感じに不気味なのと、更に1960年代の昭和歌謡が
「何この映画?」と思わせるに十分だった、そんな感じです。
そして最近観る映画によく出演していてだんだん好きになって来た
ミア ワシコウスカ嬢も出ているということで、突如観に行きました。
今年は既に劇場で25本観たことになりますが、この「嗤う分身」が
今の所ダントツです、こういう映画観たかった!
と声を大にして言いたい映画でした。
オリジナルはフョードル ドストエフスキーの「二重人格」という小説です。

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結構前に買ったまま積んであるので、これを機に読んでみようかと思います。
ただ小説とは主人公の名前が違うので、またちょっと違うのかもしれません。
主人公はサイモン ジェームズという何をやっても上手く行かない、
運に見放された冴えない男でジェシー アイゼンバーグが演じています。
割とカッコいいんだけど、冴えないスーツでぼそぼそ話し、おどおどしている感じが
とても巧かったと思います。
「ソーシャルネットワーク」の人ですね、観てないけど。

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そして顔は同じなのに活発で仕事ができて、女も簡単に口説いちゃって、
好きな人の住むアパートの正面のアパートに住んで、望遠鏡で覗きしたり、
ゴミ漁ってるサイモンとは正反対のジェームズ サイモンも同じくジェシー アイゼンバーグ。
冴えないサイモンが想いを寄せる若くて可愛いハナ役がワシコウスカ嬢です。
簡単に言ってしまえば、ドッペルゲンガーが自分の人生を乗っ取ってしまうという
よくある感じの話ではあります。
完全にドッペルゲンガーではありませんが、美人で素敵な女性と
彼女に憧れる冴えない地味な女性が変貌を遂げて
美人な女性に成り代わってしまう系の話はありますよね。

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「嗤う分身」の場合は「ルームメイト」のような怖さではなく、
もっと説明しがたい、不条理さがメインです。
カフカの小説好きな人はこの映画にはまるかもしれないなと思いました。
因みに私はカフカ大好きです。
それに加えて、古びた建物や、「この世界に昼はないのか?」と思わせる映像の暗さ。
登場する人物がことごとく生身の人間っぽくない感じとか、
現実の世界と隔絶された感じが素晴らしくいいです。
そこに流れる1960年代の昭和歌謡。
出て来る人間は皆アングロサクソンなのに、音楽が日本語というのは、
日常と違う異次元の世界に放り込まれたような感じがします。
それもブルーコメッツとか坂本九とかだから違和感が凄いのですが
そこに描かれる世界が日常の世界と違うので、一回りしてマッチしていました。
3回続けて観たら頭がおかしくなりそうな、素敵な映画です。
好みは分かれるようですが、私は本当に好きでした。
恐らく、ここ数年観た中でもかなり好きな方に入ると思います。
以下、ちょっと気付いたこと。
ネタバレ注意です。


この映画、映画の初めの方でサイモンがハナのアパートを覗き見していたら、
上の階から男がサイモンに手を振って飛び降り自殺をするシーンがあります。
最後これが「あれは自分だった」とサイモンが語るワケですが、
先日、私が参加している文芸サークルのフリーペーパーに寄稿した作品が、
ちょうど自分の目の前で自分が自殺した話があったので、
このタイミングもまた何か運命のような感じがします。
「嗤う分身」の世界観のような小説書きたいです。
私は夏目先生や寺田さんの書いた物を、読む立場で好きだけど、
書きたいのはカフカ的な不条理な感じのなのかもしれないなぁと思いました。

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