ドグラ・マグラ/夢野久作

夢野久作全集〈9〉 (ちくま文庫) 夢野久作全集〈9〉 (ちくま文庫)
(1992/04)
夢野 久作

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「読破したものは精神に異常を来たす」という触れ込みの、昭和10年に発行された日本三大奇書のうちの1冊、「ドグラ・マグラ」でございます。巷では別の出版社より発売されている文庫本の表紙が不気味だの、キャッチコピーで敬遠してしまうだの言われておりますが、この小説は読み手が選ぶ作品ではなく、小説そのものが読者を選ぶのでございます。表紙で多くがふるい落とされ、「ブーーーンブーーーーン」でさらに絞り込まれ、スカラカチャカポコと続く「キチガイ地獄外道祭文」を読み終えた暁には、あなたはすっかりこの本の魔力に憑かれ、最後まで読み終わりますれば、きっと再度読み返したくなることでありましょう。そうなればあなたはもう完全なる「ドグラ・マグラ」の中毒患者。この書物があなたを狂わせたのではございません。この書物を手に取ったあなたが大なり小なり狂っておるのです、間違えてはなりません。
しかしネット上のレビューを読んだかね・・・読んでない・・・マァ読む必要もないと思うがね、アハハ。いやいや、こいつは失敬。ところで君は「呉一郎」と「私」は同一人物と思うかね? 何、それ以外にありえない? それこそ固定観念というものだとは思わないか? この小説はチョット、いや、相当変わってはいるが、紙に黒い文字で印刷してある普通の小説だと? 気の毒だが・・・それではいつまで経ってもこの小説の謎は解けないだろうな、アハハハ。ナニ、吾輩が書いたわけではないからして、理解したような口を利くのもなんだとは思うがね。この小説はMとWという2人の人間の皮をかぶった、作者対読者の知恵比べなのだよ。そう、「呉一郎」が誰だとか、そんなことは関係ないのだ。いいかい、どんなに地を歩き、川を渡り、遠く離れ、長い時を超えようと「私」はあくまでも「私」でしかありえないのだ。ソレこそ心理遺伝なのだよ、分かるか? いいか、「私」は「呉一郎」と同じ顔をしているがそうじゃない。
お兄様、妾です・・・妾を・・・憶えていないのですか、
物まねが過ぎて心まですっかり若林先生と正木先生になってしまったのですか、
お兄様お兄様、妾です妾です。
なんて、ウフフ、ちょっと若林教授と正木先生とモヨ子の真似をしてみました。
面白いこと書こうと思っても書けないものです。
なのでこんなショーモないことを。
夢野氏は福岡生まれということもあり、知った地名があちこちに。
事件が起きた姪浜や、すぐ傍を流れる室見川なんて、
我が家から徒歩でも行けるし、室見川は家の横を流れているのです。
そういう面白さもありました。
「精神に異常を来たす」どころか、
とにかく考えに考え抜かれ、文章のリズムまで手の込んだ、
天才が構想執筆に10年以上の歳月をかけた秀作です。
別に読んだ方がいいとはイワンがね。

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