本当は不気味で怖ろしい自分探し

本当は不気味で怖ろしい自分探し 本当は不気味で怖ろしい自分探し
(2007/05/24)
春日 武彦

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自分の経験や患者さんの話のエッセイ部分と、
それを元に春日氏が創作した短編小説の部分に分かれた不思議な本です。
「自分探し」とか言うと、何とも最近言われがちな、
「やりたいことをやって生き生きしている自分」のような、
ポジティブな自己像を探す方向に聞こえますが、
そういうのを期待して読むと、タイトル通り不気味で恐ろしい、
いやーな感じを味わうことになるかもしれません。
そもそも世で言う「自分探し」なんてものは、
「自分がよければいい」と言う発想が見え隠れしていてグロテスクさがあると
春日氏が書かれているのですが、まさにワタシが「自分探し」に対して抱く
そこはかとない「気持ち悪さ」はそれなんだろうなと思います。
で「自分探し」へのアンチテーゼとしての本だろうと初めから期待して読んだのに、
自分の奥底にあるよく分からないどろどろした物とか、
いつも蠢いている正体の分からないものが
突然、それらが何なのか分かってしまうような薄気味悪さを、
ワタシが味わったので間違いないかと思います。
もっとグロテスクじゃないか。
春日氏が「幼い頃友達が錆びた桃の缶詰を蹴ったら、
劣化した缶に穴が開いて、中身が靴にかかった」エピソードを書いていたのですが、
正に本当に自分の内面の奥底から「自分を探す」行為ってのは
これに似ていると思います。
蹴って穴が開いた缶から出てきたのは妙に瑞々しい桃で、
それが気持ち悪くてたまらなかったそうなのです。
錆び付いた缶とそれに比例した腐りきった内容物が出て来たら、
それはそれで気持ち悪いですが、
缶詰なんてよっぽどのことがないと錆びないのに、
錆びた缶から出て来た物が食べても問題なさそうなものと言うのは、
予想できなかっただけに不気味なのです。
実はこの本を読んでいる間、重度の強迫性障害的な症状に悩まされてしまい、
カフェインを断ってみたり、自律訓練法を久々にやってみたりして
何とか乗り越えました、今書いてて思ったけどこの本のせいかも(笑)
元々その気がないわけでもなかったのですが。

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