不安<ペナルティキックを受けるゴールキーパーの・・・・・>ペーター・ハントケ著

不安―ペナルティキックを受けるゴールキーパーの… (1971年) 不安―ペナルティキックを受けるゴールキーパーの… (1971年)
(1971)
ペーター・ハントケ

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読みたかったけど、アマゾンで7000円とかねーと思っていたところ、
福岡市総合図書館の閉架書庫にありました。
現物見てビックリするくらい古かった(笑)
紙が茶色くなってて、あの独特の古い本の匂いがします。
かつてゴールキーパーとして名を馳せたが解雇されてしまった、
機械組み立て工のブロッホが街をフラフラしている時に出会った
映画館のキップ売りの女性の部屋に上がりこみ、彼女を殺害する。
一見大した理由でもないような殺害動機。
その後も古い馴染みの女性が経営する酒場へ入り浸り、
ジュークボックスで音楽をかけ、新聞を読み自分の起こした事件をチェックしながら
フラフラと毎日を過ごす。
ハントケ氏のサッカー好き、音楽好きが垣間見える作品ですが、
ただそれだけという訳でもない。
というのも、何か近頃日本で起きる突発型の殺人というのは、
もしかするとこういう感じなのかも知れないなと薄ら寒くなる感じです。
「むしゃくしゃした」「誰でもよかった」
実際女性を殺害する直前の2人の会話、街の理容師の2人の娘との会話を読むと、
ワタシも同じようなことで酷くイライラさせられて、
もちろん相手を殺すなんてことはさすがにしませんが、
「もういい! 止めた!!」と思うことはあります。

彼女は、彼が今はじめて話したことなのに、たちまち彼女自身の事のようにして話すのだ。彼の方はそれとは逆に、彼女が今さっき話したことについて述べる場合、いつも彼女の言葉をただもう注意深く引用するか、或は彼が自分の言葉で語るとなれば、何か改まった、隔てを置いた<この>とか<これらの>とかいう語をいつでも頭につけるのだ。

これはブロッホが女性を殺害する前の会話の様子です。
しかしこういった具合に言葉に過剰に反応し、最後の方になると、
病的な言葉への拘りが顔をのぞかせます。
行方不明になる小学生が言語障害だったり、
ハントケ氏の言葉への拘りでしょうか。
ブロッホはサッカースタジアムに向かい、サッカーを観戦します。
となりに並んだ外交員と名乗る人とゴールキーパーについて会話するのですが、
確かに言われてみればそうだよなと、恐らくGK経験のある人以外は
大きく頷きたくなる内容でした。
「あなたは今までに、或る攻撃の最初から、フォワード(前衛)にではなく、
ゴールキーパーに―彼のゴールめがけてフォワードがボールとともに殺到して来る―
そのゴールキーパーに注目しようとしたことがありますか?」
ゴールキーパー以外のフィールドプレーヤーに関しては
「オフザボールの動きが良い」とか言いますが、
そういえばGKってボールがゴールに向かって飛んでこない限り、
スタジアムで観戦してても観てることあんまりないですし、
テレビでも映らないですよね。
ある知り合いのGK経験者が
「ゴールキーパーとか好きじゃないでしょ?!」と言ったのは
こういう経緯があったのかもしれんなと思いました。

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