好きな文章、嫌いな文章

人様の書いた文章に文句をつけるとは、
お前はいったいどんだけの者なんだと。
しかしこれはあくまでも、「読む側」の趣味趣向として
受け取ってもらえると有難いです。
もちろん、自分が何か書くときも気にしている点ではあります。
くどいほど言っていますが、僕は長くて難解な、
一度読んだだけではとりあえず理解できない文章を、
何度も何度も繰り返して読むのが好きです。
最初に読んで分からなかった文章が、
何度か読んで、「あぁそういうことか!」と脳や心に染み込む瞬間が、
人の文章を読んでいて一番幸福です。
ですから、短くて分かりやすい文章、
最初から開示され、何もかも説明してあって、
特に考える必要のない文章は概ね嫌いです。
好きなわけではないのですが、時々ケータイ小説を読むことがあります。
一応文章と呼ばれる物は読んでみようかと、
好き嫌いはその後決めれば良いわけですから。
しかし大抵どれを読んでも「嫌い」に落ち着くのは、
内容よりも文章その物に原因があります。
ワンパターンな恋愛物でも構わないのですが、
あの主人公が自己紹介してしまう傾向、あれはいただけないなぁ。
「渡部 葵 18歳
もうすぐ高校卒業
親友はクラスに3人
ミカ、サキ、カオリ」
みたいなの。
↑の設定にモデルはありませんが、
親友3人って書いて、最後の1人が名前が浮かばなかったので、
自分の名前を使ったのはご愛嬌ということで(笑)
主人公による一人称が物語の進行にあたるのは
書いていて実際に楽は楽ですけど、
ただの状況説明になってしまっては読んでいてつまらない。
いや、人物の心情を語ってるから、
ただの状況説明とは違うというご意見もあるかもですが、
心情もただの「自分視点」の説明になっている。
進行役の視点がぶれるのはまた読みづらいですが、
終始「自分視点」の説明文を「小説」だと言われて読んでいても
そりゃあ面白くないと思うんですよね。
あぁいうのは「日記」と言うのです。
物語の語り部が一人称で僕が好きな小説といえば、
デュ モーリアの「レベッカ」と
プルーストの「失われた時を求めて」ですが、
これらの小説を読んで僕がすごいなと感じるのは、
全編通して自分自身である主人公の名前が一切明らかにされないところです。
全て「私」(「あたし」ってのも見た目も耳障りも好きじゃないです)
年齢や境遇も明らかにされないけれど、
自分が語る周囲の環境や関わる人々によって、
「この主人公はこういう人物」という像が浮かび上がってくるのです。
深いなーと、何度読んでも思います。
もっとも「失われた時を求めて」は何度も読んでいませんが(笑)
「タクミってのはあたしの彼氏」
なんてことを書かなくても、
距離感とか、会話で、
「あぁ、主人公の彼氏だな」と推理できるくらいの想像力、
読んでる側にもあるって話です。
バカにすんな!
・・・と、言いたいところなのですが、
そうやって書かれないと人間関係がよく分からない文章が多すぎ。
表現足りない。
ワンパターンなストーリーでも文章次第で面白くなることは
大いに有り得ると思います。
逆に面白い小説でも文章のせいで台無しってのもあり。
もったいないです、非常にもったいない。
僕は面白いストーリーより、面白い文章が読みたいです。
と、自分の文章力は100%棚に上げて語らせていただきました。
「ぐだぐだ文句タレるならそんなの読まなきゃいいじゃん」ですか。
はい、まったく、ご尤もだと思います。

好きな文章、嫌いな文章」への2件のフィードバック

  1. とうちゃん

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    長くて難解な文章が好き、というところに、ほえ~・・と色々な思いを抱きました。まあ、もちろんただ長いだけじゃなくて、上手い文章じゃないとダメなんでしょうが。
    僕はあまり長い文章は苦手ですが、
    >脳や心に染み込む瞬間が、
    >人の文章を読んでいて一番幸福です。
    という感覚には激しく同意しますねー
    これが映画や漫画では味わえない小説ならではの瞬間なわけで。
    携帯小説はまだ読んだことないんですが、うーん、本当に全編、こんな文章なんですか。
    ある意味、スゴイですね。
    好きにはなれそうにないですが、その存在の新しさはちょっと認めちゃうかもです。
    携帯のテンキーというデバイス上の制限から生まれたという点も含めて。
    ちなみにこれ見て、ジェイムズ・エルロイの「ホワイト・ジャズ」を思い出しました。
    携帯小説並みに文章が短く、単語の羅列(というか、単語の叩きつけ!)でありながら、充分に難解さを味わえ、かつ現代文学としてもクライムノヴェルとしても成り立っちゃってるところが、個人的にちょーオススメだったりします。
    僕の心の10冊ぐらいに入ります。

  2. KAORIE

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    そうですねー、やはり文章が一番、
    「あぁそういうことか!」の度合いが大きいと思います。
    映像や絵では展開が速くて「そういうことか!」としっかり納得する前に
    話が終わってしまっていることも多いですしねー。
    ケータイ小説の文章はWEB上で公開されている日記とよく似ていて、
    小説を読んでいるというよりも、日記を読んでいる感じです。
    古い人間は「小説は本だろ!」なんて思いますが、
    文化ってのはどんどん進化してゆくものだから、
    そういう形態になっても文章が受け継がれていくのは悪くないんじゃないかなと。
    全部がAAとか絵文字顔文字で表現される世の中になったら困る(笑)
    ジェイムズ・エルロイ・・・死んだばーさまが好きだったような???
    もしかしたらエルロイ氏の本がまだ家にあるかもなので、
    見つけたら読んでみます!
    なかったら図書館で借りてきてでも!
    単語の叩きつけといえば、セリーヌの「なしくずしの死」もそんなでした。

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