転々

昨日、「転々」を観て参りました。
以下ネタばれしますのでご注意を。


幼い頃に親に捨てられた文哉が借金を抱え、
その返済方法として取り立て屋の福原から
「東京散歩に付き合え」と持ちかけられます。
付き合えば100万円やる。
嫌な感じはしつつも、福原に付き合わざるを得ない状況。
行き先は桜田門の警視庁。
自分の妻を殺した福原が自首しに行くまでの付き合いです。
風景は新宿しか分かんなかったんですが、
新宿って所の混沌とした雰囲気は
あの統一性のなさに美学があると思いました。
福原と逸れてしまうシーンが新宿で、
文哉は必死に福原を探し回るのですが、
新宿で人とはぐれると、もう二度とその人に会えないような
底知れぬ不安を抱える反面、
あの雑踏の中に必ずその姿を見つけられる、
根拠のない自信もある。
新宿で迷って、人に中々会えなかった経験があるので、
あのシーンは結構きました。
で、道中、
「もしかして福原が文哉の、消息不明の父親なのでは?」と
観ている側は感じるのですが、
結局最後までその点には明確に触れられない。
麻紀子(小泉今日子)とふふみ(吉高由里子)と4人で
擬似家族を演じるシーンは本物の家族以上に家族らしいのです。
ふふみがすき焼きにマヨネーズをかけると美味しいと言って、
それを食べた文哉が「不味い」と言ったけれど、
「ちょっと大げさに言ってみたかっただけだ」と語ったシーン。
それって分かる。
家族とはないけど、好きな友達と何か食べたり飲んだりして、
幸せな時間を過ごしていると、何となく大げさにしたくなることあります。
よくあるけど、辛い物を食べて、大して辛くもないのに
普通よりも辛そうに振舞ってみたり、あるいは、
悶え苦しむ相手を見て、
自分も結構辛くて必死なんだけど、「大げさに平気」を装ったりとか。
少し脱線しましたが、福原が本当に文哉の父親だったとしたら、
警視庁前で別れるシーンは酷く湿っぽくて、
後味の悪い映画になったかも知れませんが、
あくまでも「かも」で終わってしまったのは
ドライで良かったな。
血の繋がりとか関係なく、
あの映画は文哉と福原の「一時的な別れ」で終わりました。
きっと福原が出所したら、
文哉は福原を待っているでしょう。
そんなことになっても、
2人が本当の親子なのかどうかは分からないだろうし、
どっちだって良いことなんだと思います。
そんなストーリーもさることながら、
とにかくシュールで面白かったです。
カバンから山ほど、片方だけ目の入ったダルマが出て来たり、
何しろ「ふふみ」と
福原に付きまとう「鏑木」という見るからに怪しげな女が
シュール過ぎて笑えないくらい面白かったです。
石原良純、ばりウケ。
オススメ。
最近、本当に日本映画が面白いです。
実はどんな国の映画よりも肌に合うかも。
あ、そうそう。
福原、文哉、麻紀子、ふふみでカレーを食べるシーンがあるんだけど、
最近とある人が言った、
「カレーには愛情が必要」(とはまた違ったニュアンスだったけど)ってのは、
多分、こういうことなんだろうと思いました。